うちは何回まで受けられる? 特定不妊治療費助成制度について調べてみた

こんにちは、管理人の高田です(プロフィール)。

昨年から不妊治療を開始し、半年ほど人工授精を行ってきましたがなかなか良い結果にいたらず、このたび次のステップとして「体外受精」を検討することになりました。

「体外受精」となると治療費も跳ね上がるので、現実問題として治療法に対する心理的な抵抗感のほかに「金銭的」な心配も生じてきます。

「体外受精・顕微授精」の助成金がある!

しかし、ありがたいことに 体外受精・顕微授精の治療には「特定不妊治療費助成制度」というものが用意されており、助成金をうけることができるようになっています。

わたしも助成金の存在自体はなんとなく知っていたのですが、詳しい内容についてはまったく未知の状態でした。

そこでこのたび、この制度(特定不妊治療費助成制度)の内容や手続き方法、そして助成を受けるコトができる回数などについて調べてみることにしました。

私と同じように「特定不妊治療費助成制度」を検討している方のために、基礎的な情報の共有を目的として、自分が調べた内容をここにメモしておこうと思います。

注意

記事の内容は東京都の場合を前提に書いています。具体的な手続きや条件などに関しては、自治体によって異なりますのでその点はご留意ください。

基礎知識

ほぼ知識ゼロの状態から調べましたので、折々で疑問だった点に関して基礎的な知識をまとめてみました。

どこに申請すればよいのか?

この助成制度は「厚生労働省(国)」の支援事業なのですが、実際の実施に関しては「都道府県、指定都市、中核市」が行っています。

なので、実際の申請の手続き窓口になるのは、基本的には「都道府県の県庁・都庁」となり、指定都市や中核市に住んでいる場合には「市役所」ということになります。

例えば、東京都の場合、八王子市の方は「市」になり、それ以外の方は「都」が窓口になります。

東京都特定不妊治療費助成の概要 東京都福祉保健局

○「平成27年度制度拡充のおしらせ」を更新しました(初回拡大など)。 ○区市町村の助成事業一覧に清瀬市を追加しました(平成28年度開始)。 ○指定医療機関一覧を一部修正しました(平成29年3月24日版)。 ○Q&Aを更新しました(平成28年12月16日版)。 …

市区町村ごとの助成がある場合も

また 市区町村によっては、上記とは別に独自に助成(上乗せ助成)を行っているケースもあります。

例えば、東京都の練馬区世田谷区などでは「区」独自の助成金が用意されています(※ただし対象になるのは都の助成制度を受けている人)。

つまり、練馬区や世田谷区 在住であれば「都の助成金」の他に「区の助成金」も貰うコトができるわけですね。

もちろん、同じ東京都でも中野区などのように「区」独自の助成金を持たないケースもあるので、まずは一度、自分の住んでいる市区町村のホームページなどを確認をしてみるとよいでしょう。

どのタイミングで申請すればいよいか?

助成金の申請は 治療の終了後に行います。

つまり、事前申請の必要はありません(というかできません)。

申請の期限はあるの?

その治療が終了した日の年度末(3月31日)までに、申請を行う必要があります。

例えば、2020年10月1日に治療が終了した場合は、2021年3月31日までに申請を行う必要があります。

しかしこれだと「3月30日に治療が終わったんだけど・・・」という人は 1日で資料の収集&申請書の作成を行う必要があり、これは現実的ではありません。

そのため、特例として「1~3月」に治療が終了した場合には その年の6月30日まで申請期限が延長されます(ただしこの場合は翌年度分の助成対象となります)。

助成金がもらえるのはいつ?

助成金の申請から受取までの全体の流れは 以下のようになります。

  1. 助成の対象となる治療が終了
  2. 各種資料を集めて助成の申請を行う
  3. 2~3か月ほどの審査期間を経て可否が決定し通知書が送られる
  4. (審査に通った場合は)通知から約1ヶ月後に指定口座に助成金が振り込まれる

治療が終了してから、助成金が自分の銀行口座に振り込まれるまでには、トータルで3~4ヶ月程度かかります。

助成の対象になる治療内容は?

助成の対象となる治療は「体外受精または顕微授精」になります。

それ以外の治療(=人工授精やタイミング法)については助成の対象にはなりません。

また、申請にあたっては、各自治体が指定した医療機関での治療が原則になります。

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助成金はいくらなのか?

原則として基本額は「15万円」ですが、これが全国一律というわけではありません 。

助成事業の大元である「厚生労働省(国)」の定めている額が「15万円」なのですが この額をベースとして 各自治体ごとに治療のステージなどを勘案しながら按分しているようです。

ですので、具体的な金額に関しては自分の住んでいる各自治体の規定を確認してください。

東京都の場合

例えば、東京都の場合は、治療を開始してから妊娠までをいくつかの工程(ステージ)にわけ、治療がどこまで進んだか(または方法)によって助成金額を以下のように定めています。

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治療ステージのAとかBとかCというのは以下のように定められています(※PDFへのリンク)。

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ちなみに、一番右側が「妊娠の確認」となっていますが、これは「妊娠できていたら(成功したら)」という意味ではなく、あくまで「妊娠しているかどうか判断をする検査を行ったら」という意味です。

助成の申請にあたっては「実際に妊娠したか否か」は問われません。

注意

具体的な金額に関しては自分の住んでいる各自治体の規定を確認してください。

助成が受けられる条件

細かい部分は実施している自治体によって異なると思いますが おおよそ以下のような条件が課せられています。

基本的な条件(東京都の場合)

  1. 特定不妊治療(体外受精・顕微授精)以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか又は極めて少ないと医師が診断したこと(=医師の診断書が必要)
  2. 「治療開始時」に法律上の婚姻をしている夫婦であること(事実婚は対象外 ※A)
  3. 夫婦の合算の所得額が730万円未満であること(※B)
  4. 申請日現在、当該自治体内に住所があること(※C)
  5. 当該自治体の指定する医療機関で治療を受けたこと

※A:あくまで「法律上の婚姻をしている夫婦」のため「事実婚」は対象外です。ただし例えば、京都府などのようにこの制度(特定不妊治療費助成制度)とは別に、事実婚夫婦も対象にした独自の制度を設けている自治体もあるようです

※B:所得制限は「夫婦の合算」である点、また「収入」ではなく「所得(収入から必要経費をひいたもの)」である点に注意しましょう。東京都の場合の「所得」の計算方法はコチラで詳細を確認してください。

所得額について 東京都福祉保健局

(※3) この場合の所得額の計算方法 所得金額の合計額-80,000円(一律)-諸控除=本事業での所得額 3,171,700円-80,000円-293,000円=2,798,700円 (※4) この場合の所得額の計算方法 所得金額の合計額-80,000円(一律)-諸控除=本事業での所得額 4,064,800円-80,000円-270,000円=3,714,800円 ※この場合、本人がその他の障害者に該当するため、諸控除が270,000円となる。

※C:夫婦どちらかが居住して入ればOKな自治体や、夫婦どちらかで所得の多い方が居住している必要がある自治体など 様々です。

年齢による制限

上記の条件に加えて 以下のような「女性の年齢による制限」があります。

  • 女性の年齢が42歳以下であること

つまり、残念ながら女性の年齢が43歳以上の場合は 助成の対象にはなりません(※男性=夫の年齢は関係ありません)。

年齢によって受けられる回数も違う

また、助成を受けられる回数は、初回治療時の女性の年齢が「39歳以下」なのか「40~42歳」なのかで異なります。

初回の治療開始時の女性の年齢が・・・

  • 39歳以下の場合・・・43歳までの間に通算6回まで
  • 40~42歳の場合・・・43歳までの間に通算3回まで
  • 43歳以上の場合・・・助成の対象外

あくまで「初回の治療開始時」の女性の年齢 である点に注意してください。

仮にこれを「助成を受けることができる権利」と考えると 「39歳までに1度でも治療を受けた人は 助成を6回受ける権利を得ることができる」が「初めて治療を受けるのが40~42歳の場合は3回までしか助成が受けられない」という風に言うことができます(※43歳以降は残念ながら対象外)。

なので、例えば これまで治療を受けたことが無い39歳11ヶ月の女性がいるとして、今、初回治療を行えば「通算6回まで助成が受けられる」が、1ヵ月後(つまり40歳を越えて)に 初めて治療をすると「通算3回までの助成」になるということです。

もちろん、この助成は1回でも多く受けられた方が良いというものではありませんし、助成を受けずにすむのであればそれにこしたことはありません。

ただし、あくまで制度として以上のような規定になっているんだ、ということは頭に入れておきましょう。

申請にあたって用意するもの

各自治体によって用意するものは異なると思いますので、あくまで参考として東京都の事例を紹介します。

(1)特定不妊治療費助成申請書
コチラのページでダウンロードできる/※治療1回につき1枚必要。

(2)特定不妊治療受診等証明書
コチラのページでダウンロードできる/※不妊治療を実施した医療機関に記入してもらう/※治療1回につき1枚必要

(3) 住民票
※申請日から3か月以内に発行されたもの

(4) 戸籍謄本
※申請日から3か月以内に発行されたもの

(5) 医療機関発行の領収書のコピー(保険適用外診療分)

(6)申請日の前年の所得を証明する書類
※住民税課税(非課税)証明書又は住民税額決定通知書のコピーなど/※1月から5月までの申請については「前々年分」を提出する/※夫婦それぞれの分が必要になる

まとめ

以上、「特定不妊治療費助成制度」についてまとめました。

当記事の内容は「東京都」の事例になりますので、実際の利用にあたっては、自分が住んでいる自治体の制度を確認するようにしてください。

また、私が実際に申請を行った際の感想と、資料収集時の注意点などをまとめた記事を書いていますので そちらも参考にしてみてください。

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